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発達障害分類の続き
ASD
こんばんわ、では続きの説明です。
とてもよく耳にすることが多い発達障害だと思います。
以前は、アスペルガーや広汎性発達障害など分類が多かったですが特性をよく勘案して統合されました。特性的には相違ないという結論です。
違うのは重症度や以下で解説しますが、それぞれの特性の濃さが異なるのです。
ですのできっぱり区別することは難しい、スペクトラム(連続体)という名前がついたんですね。
とはいえ、ASDに分類するための特徴があります。
大まかには、
①社会的コミュニケーション
②限局的な行動と興味
です。
①社会的コミュニケーションとは、対人関係の維持や発展が難しい、目線が合わない、などなど。
私も人間関係は苦手ですし、知らない人の目を見て話すのはちょっと気が引けます。
このように、誰しも持っている特性ですよね。
人間関係なんてめんどくさくてしょうがないですよね。
まあ、生活をしていく上で明らかに困難な状況に陥るほど人間関係が形成できないと障害の領域に入ってくるわけです。
職場にいませんか?
こんなこと言ったら絶対嫌われるだろうな?ってことを真顔で言ってくる奴?
ただ単にメンタル強いだけの可能性、もしくは性格悪いだけな可能性ありますが、それはASDの特性である可能性もあります。
ASDの特徴として、「他者の心情を理解できない」、「婉曲な言い方が理解できない」などがあります。
ですので、こんなこと言ったら傷つけちゃうな、とか、直接的なきつい言い方になる、とかが起こるわけです。
日本社会は仕事の質よりも人間関係で評価されてしまうことがあります。
上司にズバズバ言う部下は避けられたりしますよね。
たとえ、それが正しいことだとしても。。。
そうなんです、ASDの方々ってとってもピュアなんです。
正しいと思ったことを発言し、行動する。
でも、最近はやりの「忖度」とかがとっても苦手なのです。
日本で優秀な人たちが集まっている官僚組織では忖度がありまくりなので、きっとASDの人は向いてないんじゃないでしょうか。
ASDってとっても多い特性ですが、日本ではとても苦労する特性ですよね。
アメリカ人とかって結構ズバズバ言うイメージあるじゃないですか?
ですので海外とかが向いているのかもしれませんね?
脱線しましたが、ただ単にコミュニケーションではなく「社会的」コミュニケーションっていうところが重要です。
人間は社会を形成して生活する種です。
その中で社会的なコミュニケーションに困難さを持っている、考えただけでつらいですよね。。。
私もASD特性が強いなこの人、って人と仕事したことありますが、確かに感情的にはつらい思いをさせられることが多かったような気がします。
でも、仕事はすっごいできる人が多いんですよね。
ですので、感情論は抜きにして仕事に徹するといいかもしれませんね。
②限局的な行動と興味
ですが、限局的な行動はいわゆる常同行為などですね。
同じ行為を何度も繰り返す。
例えば、おもちゃを何度も並べなおしたり、扉を開けて閉めたり、って行為です。
そして、その行為を途中で止めることは困難で、無理やり止めるとパニックになったりします。
そんな時にどうしたら良いかは、特徴で解説しますね。
あとは興味も限局的です。
よくあるのは無機質なもの、機械的なものに興味が限局しやすいです。
電車や家電製品、なんというか生物のように有機質に分かりづらいものではなくて、無機質で構造から性能がそのまま発揮できるもの、というか(うまく説明できなくてすいません。。。)が好きです。
あとは回転するものがめちゃくちゃ好きですね。
扇風機とか室外機など。
これって常同的な動きを繰り返すもので、視覚的にもずーっと見てられるものなんですね。
あとはエレベーターの開く閉まるをずーっと見てられっるってお子様も経験あります。
ASDのお子様は「視覚優位」なんですが、視覚的に常同的に刺激を与えてくれるものを好む傾向があります。
「自己刺激」っていう言葉があります。
例えば、貧乏ゆすり、決まった身体の箇所をつねる、ジャンプを繰り返す、などです。
これは常同的な刺激を自分で入力している状態です。
「なんでそんなことすんの?」って思いますよね。
でも皆さんも変な癖ありませんか?
例えば大人になったらやらなくなったけど、爪を噛む、鼻水をなめる、頭皮の匂いを嗅ぐ、などなど。
刺激は感覚に対応するので、感覚の数だけ種類があります。
つまりは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、そして平衡覚ですかね。
視覚的な刺激を求めると、扇風機など回転体を見る。
嗅覚的な刺激を求めると、特定の匂いのきついものを嗅ぐ。
味覚的な刺激を求めると、鼻水などを舐める。
触覚的な刺激を求めると、頭を壁に打ち付ける。
平衡覚的な刺激を求めると、頭を傾けたりアクロバティックな姿勢をとる。
などなど。
おいおい、聴覚抜けてるぞ、って思った方はするどい!!
ASDのお子様は聴覚に過敏性を持つことが多いので聴覚的な自己刺激はあまり見たことがありません。
上述した通り、視覚優位なのが特徴ですので聴覚刺激にたいしてはあまり興味がひかれないことが多いです。
反対に忌避することが多く、例えば、雷鳴、サイレン、くしゃみ、などは異常に怖がります。
大声出している子がおおいぞ、って思ったあなたはするどい。
あれは大声を出して聴覚刺激を自己入力しているっていうよりは、声帯の振動や口から放射する音波による振動を入力していると私は解釈しています。
大声だして手を口に当てることが多いですが、あれは振動を入力してますので、触覚入力ですね。
というような感じで常同的な刺激を求めることが多いですし、行動も常同的なものを好みます。
逆に言うと、一旦ルーティン化すると忘れません。
そして、決められたことを決められた通りに行うことがとても優れています。
なんでそんなに常同的なの?って思いますよね。
むしろ、親は常同的な行為を止めたいかもしれません。
ASDの方はセロトニンが不足していることが科学的に立証されています。
セロトニンは精神を安定させる働きがあります。
よく、適応障害で不安感が強く現れている場合は処方されることも多いです。
ASDの方は、セロトニンが不足しているため、常に不安感を持っています。
ですので、常同的な刺激を入力して安心感を得る必要があるわけです。
常同的であることは、安定している、といことですので不安を和らげる作用があります。
ですので常同的な刺激を自己入力して、なんとか不安に打ち勝とうとしているのです。
つまり、常同的な行動を止めさせることは不安な中で頑張っている人をさらに不安という崖の下に突き落とす行為なので厳に慎むべきものなのです。
障害のない方々はセロトニンがしっかり分泌されて心の安定が保たれています。
それなのにASDの方は不安な状態がスタンダードなので、それだけでかなり生きていく上での困難さがあると思います。
ASDのお子様はとても多く、私も多数の方々に関わってきました。
とても熱心な親は療育を隙間なく入れて、少しでもお子様が苦労しないように、と親心で頑張っているご家庭も多いです。
ASDのお子様の早期療育はエビデンスのしっかりあることなので私は否定しません。
しかし、療育ばかりになってしまって、ASDでないお子様と比較したときに、親子だけの時間が少なくなっていませんか?
上述したように不安の反対は安定、この世で一番安定しているものってなんでしょうか?
私は「親の子どもへの愛」だと思います。
これこそ不変で恒常なものではないでしょうか?
感情論っぽいですが、療育ももちろん大事ですが、親子の時間をしっかり確保して、「私はあなたを愛している」としっかり伝えていくことが何よりも大事だと思います。
きれいごとと捉えられるかもしれませんが、本当に熱心な方ほど一生懸命になって、平日は放課後等デイ、休日は病院のリハビリ、寝る前はタブレットで発達障害用の課題、などまるで受験生のような生活を送っている方がたくさんいらっしゃいます。
何が正解かは分かりません。しかし、お子様と教育を抜きにした時間、例えば公園で走り回ったり、季節ごとの花を見たり摘んだり、砂場で泥だらけになって遊んだり、そのような経験は絶対に必要だと思います。
親の愛情は不変で永遠です。
つまりは一番の刺激入力になると私は考えています。
専門家の療育も大事ですが、親子だけの時間をしっかり確保してください。
厳しい言い方ですが、お子様が将来どうなるか不安で、ってことをよく聞きます。
だからできるだけのことをしてあげたい、だから時間やお金をいくらかけたって療育につぎ込みたい。
でもそれは「あなたの不安」であって「お子様の不安」なのでしょうか?
お子様は将来のことより今を生きています。
将来を見据えた計画ももちろん大事ですが、今しか形成できない親子関係というものも絶対あります。
分類だけのつもりが少し熱くなってしまいた。
それだけASDには個人的に思い入れがあります。
ASDはとっても多いですし、難しいです。
しかしこれだけはっきり言います。
ASDは特性であり、「治りません」。
特性が程度が大きくて生活に支障を及ぼすと障害と名前が変わるだけです。
甘いもの好きなのに毎日激辛ラーメン食べれますか?
怖がりなのに毎日寝る前にホラー映画見れますか?
虫が苦手なのにゴキブリ飼えますか?
特性は抑えられても失くすことは絶対できません。
過度に抑えることによって、うつや社会的行動障害などの二次障害に発展することが多いことはエビデンスがあります。
特性を無理に抑えようとすることは決してないように心からお願いします。
ASDだけでずいぶん書いてしまいました。
分類だけでなく特徴的な部分も書いちゃいましたが、望ましい対応は後日書きますね。
ASDの方のリハビリは一番多く担当しましたので、質問がある方は遠慮なくメッセージをください。
それではまたあした。