バカでもわかる!?言語聴覚士国家試験の過去問解説!!
発達障害の解説をしていましたが、なかなか閲覧していただけず😿
皆様のお役にすこしでも立てればと言語聴覚士の国家試験の解説を今日からしていきたいと思います!!
私は、言語聴覚士でありますが、生物学系の修士号を取得しておりますので、他にも看護師国家試験なども需要があれば解説していく予定でおります。
今日は第22回の失語症を中心に解説します。
ご要望あればコメントくださいね!!コメントしてくれたらめちゃくちゃ丁寧に解説しますよ(^▽^)/
それではレッツゴー!!
〇ブローカ野と隣り合うのはどれか?
・縁上回
・角回
・上前頭回
・上頭頂葉
・中心前回
解説
ブローカ野は大脳皮質の前頭葉にある、下前頭回の弁蓋部と三角部に位置する。
下前頭回はその名の通り前頭葉ですね?
前頭葉の下のほう!!
なので選択肢をまずは葉で分けます。
・縁上回・・・・頭頂葉
・角回・・・頭頂葉
・上前頭回・・・前頭葉の上のほう
・中心前回・・・前頭葉の上から下
はい!この中で前頭葉の下のほうなのは?
中心前回ですね。はい、おしまい。
では次。
〇失語症における流暢性について正しいのはどれか?三つ選びなさい。
・SLTAのプロフィールから診断できる
・ボストン学派の失語分類において基本をなす概念のひとつ
・文法的複雑さは重要な指標
・1/10ぐらいの頻度で発せられる最も長い発話は重要な指標
・伝導失語は非流暢性の一つ
解説
流暢か非流暢かは、運動性か感覚性かを問う問題。
ペラペラしゃべれば流暢、たどたどしければ非流暢。
非流暢は運動性!!ちなみにボストン学派は古典分類と同じ意味と捉えてOK。
ではみていきましょう!!
・SLTAのプロフィールから診断できる
→すらすらしゃべれてるかはSLTAのプロフィールでは判断できません。流暢かどうかは検査者が判断します。
・ボストン学派の失語分類において基本をなす概念のひとつ
→古典文では流暢か非流暢かは超重要視してます。なので〇。
・文法的複雑さは重要な指標
→文法的に複雑とは。。。。〇〇が××△△する。
みたいな、どう考えても構文ある程度あってたら流暢でしょう!!
・1/10ぐらいの頻度で発せられる最も長い発話は重要な指標
→長くペラペラしゃべれてれば流暢でしょう!!
・伝導失語は非流暢性の一つ
→伝導失語は感覚性、なのでペラペラ。
〇単語の復唱障害の原因となる言語症状はどれか?三つ選びなさい。
・発語失行
・語義理解障害
・語音認知障害
・喚語困難
・音韻性錯誤
解説
復唱障害不良は古典分類で言うと?
伝導、ブローカ、ウェルニッケ。
はい選択肢みてきましょう。
・発語失行
→ブローカの中核症状。なので復唱不良。〇。
・語義理解障害
→語義理解は言葉の意味が分かるかどうか。国試でよく出てきますけど意味性認知症(SD)とからめて出すことが多いです。言葉の意味わかってないと復唱できませんか?
いえいえ、日本人でも短い言葉だったらアラビア語を聞いて復唱できますよね?はい、語の音、つまり語音が認知できれてば復唱できるのです!!×。
・語音認知障害
→上で書きました!!語音分からないと復唱できません。つまり「あ」と聞いても「あ」か「い」か分からない状態です。〇。
・喚語困難
→喚語とは、言いたいことの名前が思い浮かばないこと。なので、復唱はできます。×。
・音韻性錯誤
→音韻性錯誤は「いぬ」を「ちぬ」とか音を変えて言っちゃう症状。復唱できませんやん!!〇。
〇合併しにくい組み合わせはどれか?二つ選べ。
・ウェルニッケ失語ー着衣失行
・全失語ー右側の体性感覚障害
・超皮質性運動失語ー発動性低下
・伝導失語ー相貌失認
解説
責任病巣を問う問題です。
暗記してればバカでも解けます。みていきましょう!!
病巣が近いと合併しやすいです。
・ブローカ失語(ブローカ野→左前頭葉)ー右片麻痺(左前頭葉)
近いので合併しますね!!
左右違うやん!!合併しにくいです。〇。
・全失語(左脳)ー右側の体性感覚障害(左頭頂葉)
左同士なので合併することもあるでしょう。
発動性低下は左右どちらとは限らず前頭葉でる可能性あります。なので合併することあり!×!
・伝導失語(左縁上回・弓状束)ー相貌失認(右後頭葉)
左右違うやん!!〇。
はい、左右分かってれば解けます。なので、ざっくり左右は絶対覚えましょう!!
〇WAB失語症検査について誤っているのはどれか?
・失語指数によって重症度の評価が可能
・長文の聴覚的理解の検査項目がある
・失行の検査項目がある
・非言語性知能の検査項目がある
・はい・いいえで答える検査項目がある
解説
WABは、失語指数が算出できるので、失語症の回復あるいは増悪を評価しやすい。 検査得点からブローカ失語、ウェルニッケ失語、全失語などの分類を試みている唯一の検査。 失語症の検査項目以外に失行検査、半側空間無視の検査、非言語性知能検査などを含んでおり、大脳皮質 指数を算出できるのも大きな特徴である。
これはただの暗記問題。覚えましょう。
選択肢みてきます。
・失語指数によって重症度の評価が可能
→大きな特徴
・長文の聴覚的理解の検査項目がある
→WABは
①自発話
②話し言葉の理解
③復唱
④呼称
⑤読み
⑥書き
⑦行為
⑧構成行為・計算
なので、長文の聴覚的理解はありません。。。
・失行の検査項目がある
→大きな大きな特徴、これだけは覚える!!
・非言語性知能の検査項目がある
→いわゆるコース立方体検査のようなものがあります。認知低下なのか失語症かを区別するためですね。
・はい・いいえで答える検査項目がある
→重度失語症者も対象となるため、いわゆる重度失語症検査のようなイエスノー反応を検査する。
〇失語症の実用的コミュニケーション訓練どれか?
・PACE
・遮断除去法
・刺激法
・認知神経心理学的アプローチ
・機能再編成法
解説
サービス問題!!実用コミュニケーションって出たら、PACEかCADL検査しかありません!!
要は実用といっている以上、言語にかぎらず身振り手振りを交えても「相手に伝わらいいじゃん!!」って考え方。
PACEは絵カードを使って情報交換する訓練方法です。
以上、今日はこの辺まで。
失語症って一番簡単な領域だと思います。
目指せ満点!!
次回は高次脳やろうかな。
コメントくれたらそこを優先的に解説しますよ。
または質問も大歓迎。コメントくれたら即返答します。
よろしくお願いしますm(__)m
■
発達障害分類の続き
ASD
こんばんわ、では続きの説明です。
とてもよく耳にすることが多い発達障害だと思います。
以前は、アスペルガーや広汎性発達障害など分類が多かったですが特性をよく勘案して統合されました。特性的には相違ないという結論です。
違うのは重症度や以下で解説しますが、それぞれの特性の濃さが異なるのです。
ですのできっぱり区別することは難しい、スペクトラム(連続体)という名前がついたんですね。
とはいえ、ASDに分類するための特徴があります。
大まかには、
①社会的コミュニケーション
②限局的な行動と興味
です。
①社会的コミュニケーションとは、対人関係の維持や発展が難しい、目線が合わない、などなど。
私も人間関係は苦手ですし、知らない人の目を見て話すのはちょっと気が引けます。
このように、誰しも持っている特性ですよね。
人間関係なんてめんどくさくてしょうがないですよね。
まあ、生活をしていく上で明らかに困難な状況に陥るほど人間関係が形成できないと障害の領域に入ってくるわけです。
職場にいませんか?
こんなこと言ったら絶対嫌われるだろうな?ってことを真顔で言ってくる奴?
ただ単にメンタル強いだけの可能性、もしくは性格悪いだけな可能性ありますが、それはASDの特性である可能性もあります。
ASDの特徴として、「他者の心情を理解できない」、「婉曲な言い方が理解できない」などがあります。
ですので、こんなこと言ったら傷つけちゃうな、とか、直接的なきつい言い方になる、とかが起こるわけです。
日本社会は仕事の質よりも人間関係で評価されてしまうことがあります。
上司にズバズバ言う部下は避けられたりしますよね。
たとえ、それが正しいことだとしても。。。
そうなんです、ASDの方々ってとってもピュアなんです。
正しいと思ったことを発言し、行動する。
でも、最近はやりの「忖度」とかがとっても苦手なのです。
日本で優秀な人たちが集まっている官僚組織では忖度がありまくりなので、きっとASDの人は向いてないんじゃないでしょうか。
ASDってとっても多い特性ですが、日本ではとても苦労する特性ですよね。
アメリカ人とかって結構ズバズバ言うイメージあるじゃないですか?
ですので海外とかが向いているのかもしれませんね?
脱線しましたが、ただ単にコミュニケーションではなく「社会的」コミュニケーションっていうところが重要です。
人間は社会を形成して生活する種です。
その中で社会的なコミュニケーションに困難さを持っている、考えただけでつらいですよね。。。
私もASD特性が強いなこの人、って人と仕事したことありますが、確かに感情的にはつらい思いをさせられることが多かったような気がします。
でも、仕事はすっごいできる人が多いんですよね。
ですので、感情論は抜きにして仕事に徹するといいかもしれませんね。
②限局的な行動と興味
ですが、限局的な行動はいわゆる常同行為などですね。
同じ行為を何度も繰り返す。
例えば、おもちゃを何度も並べなおしたり、扉を開けて閉めたり、って行為です。
そして、その行為を途中で止めることは困難で、無理やり止めるとパニックになったりします。
そんな時にどうしたら良いかは、特徴で解説しますね。
あとは興味も限局的です。
よくあるのは無機質なもの、機械的なものに興味が限局しやすいです。
電車や家電製品、なんというか生物のように有機質に分かりづらいものではなくて、無機質で構造から性能がそのまま発揮できるもの、というか(うまく説明できなくてすいません。。。)が好きです。
あとは回転するものがめちゃくちゃ好きですね。
扇風機とか室外機など。
これって常同的な動きを繰り返すもので、視覚的にもずーっと見てられるものなんですね。
あとはエレベーターの開く閉まるをずーっと見てられっるってお子様も経験あります。
ASDのお子様は「視覚優位」なんですが、視覚的に常同的に刺激を与えてくれるものを好む傾向があります。
「自己刺激」っていう言葉があります。
例えば、貧乏ゆすり、決まった身体の箇所をつねる、ジャンプを繰り返す、などです。
これは常同的な刺激を自分で入力している状態です。
「なんでそんなことすんの?」って思いますよね。
でも皆さんも変な癖ありませんか?
例えば大人になったらやらなくなったけど、爪を噛む、鼻水をなめる、頭皮の匂いを嗅ぐ、などなど。
刺激は感覚に対応するので、感覚の数だけ種類があります。
つまりは、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚、そして平衡覚ですかね。
視覚的な刺激を求めると、扇風機など回転体を見る。
嗅覚的な刺激を求めると、特定の匂いのきついものを嗅ぐ。
味覚的な刺激を求めると、鼻水などを舐める。
触覚的な刺激を求めると、頭を壁に打ち付ける。
平衡覚的な刺激を求めると、頭を傾けたりアクロバティックな姿勢をとる。
などなど。
おいおい、聴覚抜けてるぞ、って思った方はするどい!!
ASDのお子様は聴覚に過敏性を持つことが多いので聴覚的な自己刺激はあまり見たことがありません。
上述した通り、視覚優位なのが特徴ですので聴覚刺激にたいしてはあまり興味がひかれないことが多いです。
反対に忌避することが多く、例えば、雷鳴、サイレン、くしゃみ、などは異常に怖がります。
大声出している子がおおいぞ、って思ったあなたはするどい。
あれは大声を出して聴覚刺激を自己入力しているっていうよりは、声帯の振動や口から放射する音波による振動を入力していると私は解釈しています。
大声だして手を口に当てることが多いですが、あれは振動を入力してますので、触覚入力ですね。
というような感じで常同的な刺激を求めることが多いですし、行動も常同的なものを好みます。
逆に言うと、一旦ルーティン化すると忘れません。
そして、決められたことを決められた通りに行うことがとても優れています。
なんでそんなに常同的なの?って思いますよね。
むしろ、親は常同的な行為を止めたいかもしれません。
ASDの方はセロトニンが不足していることが科学的に立証されています。
セロトニンは精神を安定させる働きがあります。
よく、適応障害で不安感が強く現れている場合は処方されることも多いです。
ASDの方は、セロトニンが不足しているため、常に不安感を持っています。
ですので、常同的な刺激を入力して安心感を得る必要があるわけです。
常同的であることは、安定している、といことですので不安を和らげる作用があります。
ですので常同的な刺激を自己入力して、なんとか不安に打ち勝とうとしているのです。
つまり、常同的な行動を止めさせることは不安な中で頑張っている人をさらに不安という崖の下に突き落とす行為なので厳に慎むべきものなのです。
障害のない方々はセロトニンがしっかり分泌されて心の安定が保たれています。
それなのにASDの方は不安な状態がスタンダードなので、それだけでかなり生きていく上での困難さがあると思います。
ASDのお子様はとても多く、私も多数の方々に関わってきました。
とても熱心な親は療育を隙間なく入れて、少しでもお子様が苦労しないように、と親心で頑張っているご家庭も多いです。
ASDのお子様の早期療育はエビデンスのしっかりあることなので私は否定しません。
しかし、療育ばかりになってしまって、ASDでないお子様と比較したときに、親子だけの時間が少なくなっていませんか?
上述したように不安の反対は安定、この世で一番安定しているものってなんでしょうか?
私は「親の子どもへの愛」だと思います。
これこそ不変で恒常なものではないでしょうか?
感情論っぽいですが、療育ももちろん大事ですが、親子の時間をしっかり確保して、「私はあなたを愛している」としっかり伝えていくことが何よりも大事だと思います。
きれいごとと捉えられるかもしれませんが、本当に熱心な方ほど一生懸命になって、平日は放課後等デイ、休日は病院のリハビリ、寝る前はタブレットで発達障害用の課題、などまるで受験生のような生活を送っている方がたくさんいらっしゃいます。
何が正解かは分かりません。しかし、お子様と教育を抜きにした時間、例えば公園で走り回ったり、季節ごとの花を見たり摘んだり、砂場で泥だらけになって遊んだり、そのような経験は絶対に必要だと思います。
親の愛情は不変で永遠です。
つまりは一番の刺激入力になると私は考えています。
専門家の療育も大事ですが、親子だけの時間をしっかり確保してください。
厳しい言い方ですが、お子様が将来どうなるか不安で、ってことをよく聞きます。
だからできるだけのことをしてあげたい、だから時間やお金をいくらかけたって療育につぎ込みたい。
でもそれは「あなたの不安」であって「お子様の不安」なのでしょうか?
お子様は将来のことより今を生きています。
将来を見据えた計画ももちろん大事ですが、今しか形成できない親子関係というものも絶対あります。
分類だけのつもりが少し熱くなってしまいた。
それだけASDには個人的に思い入れがあります。
ASDはとっても多いですし、難しいです。
しかしこれだけはっきり言います。
ASDは特性であり、「治りません」。
特性が程度が大きくて生活に支障を及ぼすと障害と名前が変わるだけです。
甘いもの好きなのに毎日激辛ラーメン食べれますか?
怖がりなのに毎日寝る前にホラー映画見れますか?
虫が苦手なのにゴキブリ飼えますか?
特性は抑えられても失くすことは絶対できません。
過度に抑えることによって、うつや社会的行動障害などの二次障害に発展することが多いことはエビデンスがあります。
特性を無理に抑えようとすることは決してないように心からお願いします。
ASDだけでずいぶん書いてしまいました。
分類だけでなく特徴的な部分も書いちゃいましたが、望ましい対応は後日書きますね。
ASDの方のリハビリは一番多く担当しましたので、質問がある方は遠慮なくメッセージをください。
それではまたあした。
発達障害について
発達障害について
こんにちわ。
今日は発達障害についての概要をさらっと説明したいと思います。
以下に説明の流れを記載します。
①定義
②分類
③それぞれの特徴をさらっと説明
では、まいります。
①定義
定義も様々なものがあります。
その中で主要なものを。
まずは日本における行政的な定義です。
わが国では知的障害者福祉法(昭和35年4月施行)により知的障害が公的支援の対象として明記された。「知的障害を伴わない発達障害」に対しては、発達障害者支援法(平成17年4月施行)が「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠如多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」を発達障害と定義して公的支援に法的根拠を与えた。福祉や教育では、発達障害者支援法の条文をもって発達障害の定義とする立場がある(知的障害のみでは発達障害とみなさない立場)。医療では知的障害も発達障害と捉えることが一般的であり、福祉・教育と医療との行き違いの一因となっている。
ということです。
なんだかよく分かりませんよね。
つまりは発達障害者支援法に記載のある、
上記が通常低年齢において発現するもの、というものが定義です。
それに加えて、すでに知的障害者福祉法にてフォローされている、知的障害を加える考えが一般的です。
まあ、現時点で法律でしっかりフォローが担保されている障害名が行政的な定義となるわけです。そのフォローが十分か不十分かはここでは論点ではありません。
つぎにDSM-5における定義です。
DSM-5とは
「精神疾患の診断・統計マニュアル:アメリカ精神医学会版(2013)」
のことです。
まあ、ようはアメリカ精神医学会が作成した診断マニュアルのことです。
精神科医はこのマニュアルにしたがって診断をするわけです。
ちょっと待って、ここ日本なのになんでアメリカのマニュアルに従うの?
日本の精神科医は何してるの?
なんでもアメリカ追従なんでダメ!
とか思う人がいるかもしれません。(いないかな。。。)
精神科領域でトップはアメリカです。
そのアメリカの診断基準が世界の診断基準になるのはもはや当たり前なのです。
むしろ、今回DSM-5は日本が頑張っていち早く翻訳して現場に落とし込むことができたので褒められるべきなのです!!
と、脱線しましたが、DSM-5が最新かつ最適な診断基準であります。
ちなみにDSM-4と5ではかなり改訂があるので最新の5を信じましょう。というか覚えましょう。
DSM-5は神経発達障害を以下のように解説している。
1.発達期に起源をもつ病態群であり、この障害は通常発達期早期(多くは就学前)に顕在化する。
2.この障害は、個人としての機能・社会的な機能・学業あるいは職業機能に障害を生じるような、発達的欠如(developmental deficits)で特徴づけられる。
1.は、日本の行政的な定義でも、通常低年齢で発現するもの、という記載がありますよね。同じ意味です。いわゆる、教育など環境要因によらないもの、って意味合いです。
2.は、つまりは特性で片付けられるような程度ではなく、生活していく上で何らかの困難さを生じる程度じゃないと障害とは呼べませんよ、という意味です。
まあ当たり前ですよね。身近に結構ずぼらな人はたくさんいますが、普通に会社員できているのにその人たちみんな発達障害って診断しちゃったらものすごい数になっちゃいますよね。
いずれにしろ大事な点は以下の2点です。
- 小さいときに発現する
- 社会生活の中で独力だけでは極めて困難さを生じる恐れがある
- 何らかの神経系の発達障害に起因すると想定される
3は足しましたが、そうしないと染色体異常など他の神経発達障害を含んでしまうからです。当然ですがダウン症候群などは発達障害ではありませんからね。
さて次にいきます。
②分類
これはDSM-5の分類を覚えてください。DSMこそが正義なのです(?)。
下記の7分類です。
- 知的能力障害群
- コミュニケーション症群 / コミュニケーション障害群
- 自閉スペクトラム症 / 自閉症スペクトラム障害・注意欠如
- 多動症 / 注意欠如・多動性障害
- 限局性学習症 / 限局性学習障害
- 運動症群 / 運動障害群
- 他の神経発達症群 / 他の神経発達障害群
では詳しく見ていきましょう。
1.知的能力障害群(ID)
知的発達の全般的な遅れを示す群であり、昔は精神発達遅滞なんて呼ばれてました。
IQ70以下という目安がありますが、DSM-5では知的指数よりも臨床的評価が優先されます。ようは、学校の先生がテストの点数ではなく学校での様子全体を観察して評価する、っていうイメージに近いですかね。(遠いか?)
とはいえ、日本では田中ビネーやウェクスラー式知能検査などの結果をもとに診断されることが多いですね。というか、検査自体は臨床心理士がやることが多いので臨床心理士の検査結果で診断されちゃっているのが日本の現状です。
教育行政もIQだけとはいいませんが、かなりIQを重要視して通常級、情緒級、知的級などのクラス分けを行っていますね。本来はその子本来の力を総合的にみた上で判断するのがベストなのですが、なかなか定性的評価というものは難しいものです。
検査も標準化されてはいますが、お子様の機嫌や調子、さらには検査者のスキルによってもだいぶばらつくので、一回だけの検査で断定するのはかなり危険だと個人的には思います。とは言え、たとえばウェクスラー式では学習効果があるので、検査間は2年程度あけないといけないとされているので、そんなに何回も簡単にやっていい検査ではありません。
そろそろこの子ならやってもいいかな?っていう適切な時期に、そのお子様と波長が合う臨床心理士さんにとってもらうのがベストです。適切な時期を判断するのが医師の役目です。なんでもかんでもすぐに検査やれやれ言う意思は信用しないほうがいいでしょう。
もちろん、お子様の特性を判断する材料にはなるのですが、上述した通り、あまりに調子が悪い時期に新人の心理士さんに手際悪く検査されて日には悲劇です。
結果は結果なので、その結果が残りますし、行政はその結果だけでその子のことを判断してしまうかもしれません。
検査をやるにも、時期と必要性、そして結果をどう今後生かしていくか、というプランがあってこそやるべき検査なのです。
2.コミュニケーション障害群(CD)
大きく分けて、
- 言語症
- 語音症
- 小児期発症性流暢症
に分けられます。
①言語症
いわゆる年齢の割に言語能力の発達が遅くてちょっと困るね、っていう状態です。言語能力とは、理解、話す、語彙、構文などなどです。
当然ですが、知的障害や聴力障害は除外します。
ですので、専門病院ではまず聴力検査をしますし、知的障害を除外診断するために知的検査をします。この検査は診断のために必要な検査なので目的が明らかな検査なのでOKです。まあ、ベテランの医師であれば問診など臨床的所見でだいたい診断できちゃいますが。
②語音症
正しい発音ができない。いわゆる構音障害と呼ばれるものです。
定型発達では発音は5歳ぐらいまでに定まります。
ですので小学校入学前でもいわゆつ赤ちゃん言葉だったり、サ行がタ行に置き換わったり、という状態です。
舌の形が変わっているなど器質的な原因や聴覚障害が原因の場合は語音症ではありません。
STのリハビリ依頼が多く、私自身、何人も担当させていただきました。
他の発達障害と合併している場合は少し苦労しますが、純粋な語音症であれば治すのはさほど難しくありません。
気になるお子様はすぐにSTに相談しましょう。
あと気を付けたいのは3歳なのに発音がおかしいからってST相談される場合がありますが、それはあまり意味ないです。
上述した通り、発音の発達はばらつきが大きく、5歳頃になるとだいぶ変わってきます。
また、発音練習は5歳相当の発達年齢が必要とされているので、5歳にならないと練習をすること自体が難しいです。
注意したいのは、口を閉じることができない、舌を前に出せない、など筋力が不足しているお子様はその限りではありません。
いわゆる口元が少しゆるい状態なので、専門家に相談して口腔筋機能療法(MFT)いわゆる口まわりの筋トレを早く始めたほうが、早く良くなります。最近は歯科も力を入れているので、気になる場合は相談してもいいかもしれません。食べこぼしが多いとか、ぼーっとしてる時に口が開いて、舌が出てるとかそんなお子様です。4歳ぐらいから練習してもいいんじゃないでしょうか。
私も何個かお子様向けの練習を考案しましたし、専門家であれば飽きずに楽しみながらできる練習を知っています。
脱線しました。
③小児期発症流暢症
いわゆる吃音ですね。
発達の途中で一過性に現れる場合もものすごく多いので過度に気にすることはNGです。少し気になったからといって、お子様に都度注意しては余計ひどくなったり、最悪話すのを嫌がるお子様になってしまいます。
まずは専門家に相談してください。吃音は原因がはっきりと証明されておらず、非常に対応が難しい症状です。何らかの脳の機能的原因が推定されてはいますが、心因的な原因もないとはいえず、過度の干渉は逆効果となることは確実です。
まずは専門家に相談、それから長期的なスパンで症状と向き合っていく、というのが現状です。
ただ、私の個人的な印象ですが、吃音の方々は非常に優秀な方々が多く、真面目でやさしい人が多いです。エビデンスのない話ですいません。。。。
かなり長文になってしましました。
自閉スペクトラム症は次の記事で説明していきます。
それでは失礼します。
発達障害児の支援に詳しい言語聴覚士のブログ
まずは自己紹介
私は言語聴覚士(以下、ST)として現役で活躍している30代後半男性です。
総合病院で勤務後に、訪問リハビリに転職。
そこで5年間、成人から小児までのリハビリを幅広く担当しています。
関東のはずれですが、小児領域まで網羅できるSTは珍しいらしく、依頼が殺到、現在まで100名弱のご利用者様のリハビリに関わってきました。
私自身、成人の特に高次脳機能についてのリハビリが専門でありましたが、あまりの需要に個人的に講習会参加や関連本、論文を読み漁るなど自己研鑽を重ねて、数多くのお子様、そして養育者の方々の信頼を勝ち得て、現在もキャンセル待ち多数の状況です。
この経験を同業種、もしくは悩んでいらっしゃる養育者の方々のお役に少しでも立てればと思いブログの開設を決意しました。
その上で私がまず声を大にして言いたいことが、
小児領域のSTは圧倒的に不足しいている!!
ということです。
よく聞くお話なのですが、地域に小児STリハビリを行っている病院は2~3しかありません。しかも、それらの病院に希望者が殺到するため、予約は取りづらく、取れたとしても月に1回、または不規則なスケジュールとなることが多いです。
まず大事なことは、私はリハビリはサービス業の一種と考えています。
もちろん、医療職としということは分かっていますが、ここで言いたいことは顧客満足度を重視する、つまりは結果にコミット(ライ〇ップか!?)してこその職業ということです。
現在、小児領域のSTは需要と供給のバランスが適正ではありません。
するとどうなるか。。。
そうです、サービスが受けられないばかりか、適正な競争環境が生まれないためにサービスの質も向上しないのです。
私は地域でも有名なSTである自負がありますし、他事業所のSTもよく知っています。
しかし、彼らは私と同じ質のサービスを提供できていません。
ですので私に依頼が集中するわけです。
これは当たり前のことですよね。
なんだ、ただの自慢かよ、と思ったそこのあなた、ちょっとお待ちください!!
これは自慢ではなく、事実に基づいていることです。
彼らと私に何の違いがあるのか。
以下に2点列挙します。
①そもそもSTとしての自覚
私は国立大学大学院で生物系の修士号を獲得しました。
その後、興味があってST養成校にて勉強して国家試験に合格しました。
はっきり言ってSTの勉強はさほど難しいものではありませんでした。
国立大入試レベルを突破した方々であればよほどさぼらなければ国家試験も突破できるでしょう。
その中でまず感じたことは、専門校教員の質の低さでした。
STといって領域が多数あります。
成人、小児、その中でも高脳機能障害、嚥下、難聴など。
教員達は自分の得意な領域では饒舌ですが、すこし分野がはずれると「それは私にはわからない、経験ないから。。。」と恥ずかしげもなく言うのでした。
例えば、道端に老人が苦しそうに倒れているとします。そこに通りかかった医師が「私は小児科医だから老人のことはよく分からないから専門医を呼んでくれ」などと言うでしょうか!?
医師であるなら、一通りの研修を終えているわけですがその場で適切な処置を施し、必要な救急要請をできるはずです。
それがSTでは、成人だから、小児だから、などと馬鹿な言い訳が通じるのはどういうことでしょう。
国家試験には成人から小児まで幅広い分野が出題されます。
ですので、試験を突破したSTは全領域をある一定の担保された質のサービスを提供できなければおかしいのです。
興味がある、ない、はもちろんあるでしょう。
しかしながら、私たちは需要を敏感に感じ取って、その需要にこたえるべく日々研鑽を積み、そのアウトプットを国民に還元すべく国家試験を突破したはずです。
ならば現在、成人に比べて小児のSTが不足している現象は嘆かわしいものがあります。
長くなりましたが、社会に求められているSTとしては自覚があれば分野は抜きにして、どんな依頼にもある一定の満足度が得られるサービスを提供できるはずです。
適当にその場しのぎでやっているから身につかないんですよね?。
②圧倒的病院主義
STはまずたいていは病院に就職します。
これはリスクマネジメントや基礎的なスキル習得には必要なことでしょう。
私も、中核病院で勤務していましたのでわかりますが、
「みてほしいなら病院まで来てください」
ってのが基本的なスタンスです。
でも、例えば仕事している場合、はたまた子供が2人、3人いる場合なんて1人の子供を平日の言われた時間に連れていくことなんでほぼ不可能じゃないですか?
土日やってるとこもありますが、当然予約開始で即満員、みたいなジャニーズのコンサートみたいな事態になるわけです。
私は訪問であっても病院と同じ、もしくは負けない質のサービスを提供できている自信があります。
病院でないとできないリハビリって何ですか?理学療法士のように大きな機器を使うわけじゃない。
日常生活場面では注意がそれる物がいっぱいある?
いえいえ、養育者の方に相談すれば一室を病院のST室よりもさらに集中できる立派なST室に仕立て上げてくれます。空き部屋がなくとも、仕切りをする、時間でものを移動する、などいくらでも環境調整は可能です。ひいては日常生活に近い環境でリハビリしたほうがリハビリ効果が汎化しやすいのは言うまでもありません。
ゆえに、STが病院にとどまる理由ってないんですよね。
これは理学、作業療法士さんにも言えることですが。
私はご自宅を訪問したときは養育者の方はリハビリを見学してもいいし、むしろ参加してもいい。もちろん家事をやってもいいですよ。と言います。
そうすると徐々に養育者の方はリハビリ時間を有効活用して食器を洗ったり、晩御飯の仕込みをしたりと有意義に時間を使ってくれるようになります。
ご兄弟がいらっしゃる場合は、そのお子様といっぱい遊んであげるようにアドバイスしたりもします。
どうしても、発達障害と診断されるお子様は手がかかりますので、ご兄弟がほっとかれるパターンがあります。その気がなくてもかかわっている時間は相対的に少なくなってしまうでしょう。そうなると、例えば弟様が寂しい思いとしたり、兄または姉に対してネガティブな感情も持ったりすることもあるので、その防止にもつながります。
あと、私が病院と訪問で感じた一番大きなことは、養育者の方々の意見をきけるようになったということです。
なんとなく病院だと話しづらいことありませんか?
それが自宅に来て何回か世間話しているうちに、ふととても悩んでいることを相談してもらえたりするんです。
そうなったら私は信頼関係が築けたな、と安心します。
「なにかありますか?」、そう問いかけたときに、「何もありません」、という返答に安心するのではなく、相談してもらえる関係にまだなっていないと反省しなければなりません。
ほんの些細なことでも、いっぱい、いっぱい悩みを養育者の方は抱えています。
ほんとのリハビリはお子様だけでなく養育者ひいてはご家族みんなを対象とするものがということを忘れないでください。
お子様だけにしか関われていないようではまだまだです。
ちょっと長くなってしまいましたが、自己紹介がれたの記事はここまでとしてます。
次回からは、発達障害の概論、そして個別に想定される支援などなど。
具体的なお話を進めていきたいと思います。
何か質問があれば返答いたします。
あとは、言語聴覚士の学生のための国家試験解説もしてく予定です。
それでは皆様、日常をよりよい日常にするために日々研鑽しましょう。
また明日!